デッドリフトは、床からスクワットの要領でバーベルを持ち上げることで、主に大殿筋(ヒップ)・ハムストリングス(太ももの裏側)・脊柱起立筋(とくに腰の周り)が鍛えられます。
デッドリフトのやり方
・床にセットしたバーベルの下に足を置き、腰幅から肩幅にして直立します。
・ヒザを曲げて上体を(45度くらい)前に倒し、バーベルを肩幅よりやや広めにして順手で(手のひらが自分のほうへ向くようにして)握ります。
・背筋を伸ばし、骨盤がヒザの高さに来るぐらいまでヒザを曲げ、息を吸って体幹に力を入れます。
・腰周りの筋肉を引き締め、肩甲骨を背中側で寄せるように肩を後方へ引きます。
・息を吐いてヒザを伸ばし、ウェイトが左右均等に両足全体に乗るようにして、バーベルを引き上げていきます。
・バーベルを体に沿わせるよう、ヒザとともに股関節(太ももの付け根)を伸ばしていき、直立します。
・いったん静止して、繰り返します。動作中は脊柱の自然なカーブ(背筋を伸ばした状態)を維持して行うようにします。
デッドリフトで鍛えられる筋肉
股関節を伸展する(伸ばす)ことで、主に大殿筋(ヒップ表面の筋肉)とハムストリングス(太ももの裏側)、腰腸助筋(ようちょうろくきん:腰周り、脊柱起立筋群のひとつ)が鍛えられます。
股関節の角度が90度以下のとき、上体を起こすスタート時にまず大殿筋が、股関節が伸びるにしたがってハムストリングスの働きが大きくなってきます。
そうして上体を起こして直立するときに、脊柱起立筋(とくに陽腸肋筋:ようちょうろくきん、腰周りの筋肉)の働きが大きくなります。
(脊柱起立筋群⦅背骨の周辺、首の付け根から骨盤・仙骨に至るまでの筋肉群の総称⦆は、脊柱の自然なカーブを保つため、動作全体を通して緊張した状態で体幹を支えています)
僧帽筋中部(背中の上部、肩甲骨の周辺)と菱形筋(僧帽筋の深部)も、肩甲骨を背中側で寄せてバーベルを保持するのに働きます。
手首の周辺(橈骨主根屈筋:とうこつしゅこんくっきん、尺側手根屈筋:しゃくそくしゅこんくっきん)、指の屈筋群(握る筋肉)もバーベルを握るのに働きます。
またヒザの関節を伸展することで、大腿四頭筋(太ももの表側)が鍛えられます。
(バーベルのポジションの違いにより、デッドリフトでは股関節の伸展が中心で、主に大殿筋とハムストリングスが鍛えられます。
バーベルを肩に担ぐスクワットでは、ヒザ関節の伸展が中心で、主に大腿四頭筋が鍛えられます)
デッドリフトの効果
ボディメイクでは背面全体の筋肉を発達させ、腰周り・ヒップ・太ももの裏側などの筋肉を鮮明にする効果があります。
また、背筋を伸ばして上体の姿勢を改善する効果も期待できます。
スポーツではジャンプ・ランニング(ダッシュ)などの全身の爆発的なパワーのアップに、日常でも床から物を持ち上げたり、腰の周辺を強化するのに役立ちます。
まとめ
・デッドリフトは、床からバーベルを引き上げることにより、主に大殿筋(ヒップ表面)・ハムストリングス(太ももの裏側)・脊柱起立筋(背骨の周り)などが鍛えられます。
・体を起こすときは、まずヒザ関節から伸ばし、その後に股関節(太ももの付け根)を伸ばして直立します。(後ろへ大きく反らすと腰を痛める場合があるので、上体を起こす際は直立姿勢までにします)
・動作全体を通して、脊柱の自然なカーブ(背筋を伸ばした状態)を維持して行うようにします。これにより股関節周辺の筋肉が強化され、腰を痛める危険が軽減できます。
・動作中、腕は伸ばした状態を維持し、股関節を伸ばす(腰を前に突き出す)ようにして上体を起こしていきます。
・ウェイトが重くなってくると背面の筋肉より、握力のほうが限界に達しやすくなります。
その場合は、オルタネイトグリップ(片手を順手、もう一方は逆手)にするか、リストストラップ(手首とバーに巻く帯状の補助具)を利用すると、より重いウェイトを挙げることができます。